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日本ホームヘルパー協会

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ホームヘルパーQ&A

日本ホームヘルパー協会が平成18年度に実施した「出前講座」(全国5か所)の「意見交換会」では、訪問介護員の皆さまから899件の「悩み・困っていること」が寄せられました。
 当協会では、たくさん悩みを抱えながら業務に従事している皆さまのお役に立てるよう、皆さまから特に多く寄せられた「悩み・困っていること」に対し、各支部会長からアドバイスをもらいました。解決の参考にしてください。
 ※本内容は、機関誌『ホームヘルパー』平成19年4月号(No,383)~平成20年4月号(No,393)において連載したものです。
 
 
  ※回答者の役職は平成19年当時のものです。

 
  • ホームヘルパー個人に関する悩み(年齢・性別・体力・能力に関すること等)
  • 処遇や労働環境についての悩み(賃金・交通費・休暇 等)
  • 業務に関する悩み
  • 利用者についての悩み
  • その他の悩み

 

 


◆ホームヘルパー個人に関する悩み(年齢・性別・体力・能力に関すること等)

 

 

Q1:年齢が若いということで受け入れられるか不安です。高齢者とうまくコミュニケーションがとれているか不安です。

A1:(回答 日本ホームヘルパー協会会長 因 利恵)

 ご心配なく。年齢に関係なく、若い人には若い人の良さがあります。若い人は人生の知恵を授かると思ってコミュニケーションを。ベテランにはベテランの良さがあります。年齢が近い分、理解し合える良さがあります。
 介護職はコミュニケーションを気にしますが、利用者はコミュニケーションを必要としているのでしょうか?あなたにも、今日は誰とも話したくない日はありませんか?静かにしていたい日はありませんか。逆に話し相手がほしい時や、自分の思いを理解してほしい時はありませんか。いずれにしても、利用者の置かれている状況を把握しなければなりません。
 そのためには、利用者の置かれている状況を理解する努力が必要です。慣れてくれば玄関に入ったときの雰囲気で分かるようになりますが、まだ慣れないうちは率直にお尋ねするのも良いでしょう。「ご気分はいかがですか」「昨夜はおやすみになれましたか」などの言葉かけで反応を見るのも一つの手です。
 訪問介護員の基本的業務として、身体状況の把握や精神状況の把握があります。「利用者の日々の変化を読み取る訓練」をしてみましょう。
 介護に必要なコミュニケーションは「非言語的コミュニケーション」と言われています。すなわち表情や視線、動作、雰囲気などです。「言語的コミュニケーション」(声かけ等)が特に気になるようですが、訪問介護員側の笑顔や共感的態度で、コミュニケーションがとれていることが多いものです。利用者を理解する努力を怠らなければ、自ずとコミュニケーションはとれると思います。
 どうしてもきっかけがほしい時は、部屋の中の置物について尋ねてみるのも良いと思います。案外、「孫が修学旅行で買ってきてくれた」「亡くなった主人からの誕生日プレゼントよ」等と話しが弾みます。アルバムを見せていただくのも良いですよ。アルバムの中にはたくさんの思い出が詰まっています。人生の中で楽しかった話も利用者が聞いてほしいと思っていることです。


Q2:ヘルパー=女性と思われがちですが、男性ヘルパーということで受け入れられるか不安です。

A2:(回答 日本ホームヘルパー協会東京都支部会長 田中典子)

 介護は本来、「同姓介護」を基本としています。排泄介助や入浴介助をはじめ、同性の介護職の方が介護される側の緊張感の負担を軽くする場面が多々あります。
 一方では、介護者=女性という歴史が長かったことや女性利用者が多い状況の中で、男性ヘルパーを「受け入れてもらえないのではないか」という不安もあります。
 しかし、同性介護の原則を実践するためにもパイオニアとして、その良さをアピールしてみてはいかがでしょうか。
 実際に介護関係が始まってみれば、「力が強くて安心感がある」とか「男同士の方が気兼ねしなくてよい」との声もあり、その良さをわかっていただくことが多いので、過度な心配は不要かと思います。

 

 


Q3:介護福祉士資格は取得したほうがよいでしょうか。またその方法は?

A3:(回答 埼玉県ホームヘルパー協会会長 青木文江、兵庫県ホームヘルパー協会会長 白井則子)

 

 まずは自らの進路を決めることから考えればよいかと思います。

 将来、介護支援専門員として職務に従事することが目的というのであれば、介護福祉士の資格がなくても、ホームヘルパーなどの資格と所定の実務経験機関で当該受験資格を有することができます。

 将来的にも介護の専門家として、職務に従事する場合は、介護福祉士資格を取得することをお勧めいたします。現在、特定事業所加算要件の一つに、「サービス提供責任者のすべてが5年以上の経験を有する介護福祉士であること」となっており、今後、介護福祉士であることの必要性が更に高まることも予想されます。

 将来的にどのような職務に就くかはさて置き、知識・技術・経験を日々向上していく一環として、あるいは目安として介護福祉士を位置づけることもできます。

 利用者に対して、より適切かつ的確なサービスを提供するためにもチャレンジしてはいかがでしょうか。

 

 

 


Q4:勤務後は疲れてしまい、自宅では何もできず、家事等がおろそかになってしまいます。

A4:(回答 鹿児島県ホームヘルパー協会会長 池田喜代子)

 介護の仕事は難しいので疲れますよね。疲れの原因は人それぞれですが、あなたの疲れの原因はいったい何でしょうか。その原因がわかれば、その疲れを軽減することができると思います。経験年数が浅く不慣れなためであればしばらくの辛抱ですね。業務が難しいのであれば、先輩やサービス提供責任者に相談すれば楽になるかもしれません。仕事量が多いのであればそれも相談して担当利用者を減らしてもらうことはできませんか。
 介護の仕事は、精神的にも肉体的にも疲れることですので、大変な時は上司に相談し、時間や仕事量の調整をしていただきましょう。
 それから、あなた自身のご家族とも話し合いを持ち、疲れが強い時だけでも、子供や夫からの協力が得られることをお願いしましょう。本当に介護の仕事が好きで頑張っていれば、家族もわかって協力をしてくれるはずです。当然、家族に対する思いやり、気づかいも忘れずに。家族に負担がかかっているようであれば、いつまでに改善できるかを示し協力をお願いしましょう。

 

 


◆処遇や労働環境についての悩み 

 

Q5:賃金(給与)水準が低いですが、何か原因があるのでしょうか。

A5:(回答 千葉県ホームヘルパー協議会会長 境野みね子)

 財団法人介護労働安定センターの平成18年度に実施された「事業所における介護労働実態調査」及び「介護労働者の就業実態と就業意識調査」における所定内賃金の調査では、「月給の者(全体)」の平均賃金は213,837円、「日給の者(全体)」の平均賃金は11,986円、「時間給の者(全体)」ほ平均賃金は1,184円でした。職種別では、訪問介護員・介護職員の「月給の者」の平均賃金は看護職員等の他の職種に比べ低いことがわかりました。
 介護保険での介護給付費は、身体介護1時間で4,020円、生活支援1時間で2,080円です。事業所は限られた報酬の中から、訪問介護員、サービス提供責任者の賃金を支払います。サービス提供責任者については、訪問介護員等の10人ごとに1人、もしくは事業所の月間延べサービス提供時間450時間ごとに 1人、常勤のサービス提供責任者を置かなければなりません。また、事業所が正社員・非正社員の研修費等を持つこともありますし、事務運営費として介護サービス情報の公表に係る費用、様々な雑務に係る費用等を、低い介護報酬の中から賄われなければならないということが原因になっていると思われます。
 当協会でも介護報酬の見直し、給料のアップを求めているところです。


Q6:通勤費(ガソリン代等)が支給されない、または少額しか支給されません。どの事業所も一緒なのでしょうか。

A6:(回答 新潟県ホームヘルパー協議会会長 古川美由紀)

 平成16年8月27日に「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」という通達が出されました。
ウ 訪問介護労働者は、利用者宅に移動することを前提に訪問介護の業務に従事するものであり、通常その移動に要する費用については、事業の必要経費との性格を有し、事業場が実費弁償として支給している旅費、交通費等は、一般的には労働の対償ではないことから賃金とは認められないので、最低賃金額との比較に当たっては、比較対象の賃金額には参入しないこと。
「2 訪問介護労働者の法定労働条件の確保上の問題点及びこれに関連する法令の適用(4)賃金の算定」(基発第0827001)
 上記のように、移動に要する費用について支払うべきとなっております。実態を調べて問い合わせをしてみましょう。


Q7:移動時間が時給換算されません。問題ではないのでしょうか。

A7:(回答 千葉県ホームヘルパー協議会会長 境野みね子)

 訪問介護の業務に直接従事する時間だけでなく、移動時間、業務報告書等の作成時間、待機時間及び研修時間についても、次のような場合には労働時間に該当します。



Q8:記録を行っている時間の時給が発生しないのですが仕方ないのでしょうか。

A8:(回答 新潟県ホームヘルパー協議会会長 古川美由紀、埼玉県ホームヘルパー協会会長 青木文江 )

 労働時間及びその把握については、「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」で、「業務報告書等を作成する時間については、その作成が介護保険制度や業務規定等により業務上義務付けられているものであって、使用者の指揮監督に基づき、事業場や利用者宅等において作成している場合には、労働時間に該当するものであること」と記載されているように、時給は発生します。
 基本的に記録は、その都度利用者の確認印が必要になりますので、必ず利用者宅で実施します。記録に要する時間は健康チェック・環境整備・相談援助等を含めて5分から10分以内を目安とします。
 また、対価をもらうのですから当然、記録の質も問われてきます。「特にお変わりなし」「通常のサービスを実施」等々の記述が多く見られますが、対人援助職としては不十分です。モニタリングの役割を果たすものとして客観的な事実に基づいた過不足ない記録を心掛けたいものです。後でまとめて書こうと思っても忘れたりすることが多いので、利用者が発した一言等、その場でメモしておくと後で役に立ちます。
 自らの業務を検証し証明するのが記録です。スキルアップを目指して工夫しましょう。



Q9:厚生年金、雇用保険などの社会保険への加入がなく、不安を感じています。

A9:(回答 日本ホームヘルパー協会東京都支部会長 田中典子)

 平成16年8月27日に厚生労働省労働基準局長から「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」という通達がでました。
 この中で非定形的パートタイムヘルパーの働き方は労働条件の明示、労働時間の把握、休業手当の支払、賃金の算定等に関して問題点が多く見られるとして労働基準法等の法令の適用が整理されました。
 労働保険については、「使用者は訪問介護労働者を含め労働者を1人でも雇っていれば労働保険の手続きを行わなければならない」と記されています。このうち「労災保険」は「労働契約の期間の長短にかかわらずすべての労働者が対象」であり、「雇用保険」は短時間就労者について次のいずれにも該当する場合、該当するとなりました。

 ア.1週間の労働時間が20時間以上である。
 イ.1年以上引き続き雇用されることが見込まれる場合



Q10:人手不足から、休暇・休憩がとれません。どの事業所も一緒なのでしょうか

A10:(回答 埼玉県ホームヘルパー協会会長 青木文江)

 全国各地で、ホームヘルパーの確保を目指し「養成講座」が開講されていますが、「養成講座」の卒業生は現在350万人、そのうち実際に就労する人は1割程度です。
 一方で、65歳以上の高齢者人口は現在、総人口の23%(※2011.6.10発表、2010年10月時点)を超えていますので、需要に対して供給が追いつかずホームヘルパー不足の状況が続いています。
 現場で働くホームヘルパーにとって人手不足は深刻な問題で、「休暇や休憩がとりづらい」あるいは「とれない」などと職場環境の低下を招いています。「自分の職場だけかしら?」「他の事業所だったらどうだろう?」と大変気になるところですが、このような状況は事業所の経営規模に関わらず、全国共通の悩みと言えるでしょう。
 特に、常勤ホームヘルパーの場合、「サービス残業」をしても、その日の仕事が終わらない状況にあるとさえ言われています。
 また、身体的にも精神的にも日々変化しやすい状況にある利用者に対して、ホームヘルパーはその時々の状況・状態に合わせた対応が求められます。対応できなければ、利用者の心身や生活に直接影響を及ぼすことになり「何時から何時まで」と決まっていても、常に変化することを意識していなければならない仕事でもあります。
 時と場合によっては、休暇や休憩がとりづらい職種ではありますが、ホームヘルパーの仕事を長く継続していくには、きちんと休暇・休憩をとることでしょう。
 休暇・休憩は常勤ヘルパーのみならず、非常勤ヘルパーや登録ヘルパーであっても労働基準法において定められています。


Q11:事業所が研修に派遣してくれません。あるいは自費での参加になってしまいますが何かよい解決策はありませんか。

A11:(回答 和歌山県ホームヘルパー協会会長 守山美加)

 この質問の問題点はたくさんあります。例えば、事業所のスタッフ数が不足しており、勤務を休んだり、交代が不可能な場合、研修への派遣も困難となるでしょう。また、事業所に送られてくる研修案内すら見せてもらえないなどといった問題もよく耳にしますが、これに対しては、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第45号改正現在)」第30条3において、「指定訪問介護事業者は、訪問介護員等の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない」と明記されていますので、その旨、事業所に申し出てください。研修によっては、必ず受けて、内容を理解しておかなければならないものもあり、研修は重要なものとなっています。
 自費での参加については、自分のためか、または業務で必要な内容を習得するためであるかで取扱いが異なると思いますが、業務を行う上で必要な研修については費用の負担について事業所と相談してみてはいかがでしょうか。
 また、研修に出る際には他のスタッフに伝達等を行い、不在にしても業務が滞りなく行われるようにしておきましょう。

Q12:事業所間あるいは地域間で賃金にばらつきがあると感じますが、何か原因があるのでしょうか。
 
A12:(回答 山梨県ホームヘルパー協会会長 十五 陽一郎)
 
 訪問介護事業では、事業収入のほとんどが介護保険給付費であり、事業支出は常勤・非常勤職員の給与、固定費(家賃・事務経費・通信費等)、変動費(交通費・会議費などの利用者数によって増減する費用)で構成されています。
 
●地域差による格差の原因
 事業所の規模にもよりますが、都会の訪問介護サービスは徒歩または自転車で活動できるサービス提供範囲であり、地方では自転車の移動も5分・10分、場合によっては、サービス提供時間より移動時間のほうが長く、交通費のウェイトがとても高く、昨今のガソリン代の高騰はさらに負担を多くしています。
 また地方では、比較的軽度の利用者が多く、重度化すると施設入所になってしまうことも介護報酬の低減につながり、格差の原因となっています。
 
●事業所規模による格差の原因
 訪問介護事業所では、事業所規模が比較的大きな事業所でも、ホームヘルパー数は70名程度で、ほとんどの事業所は小規模の20名以下の事業規模ではないでしょうか。また、一つひとつの事業所は小さいですがチェーン事業体となっていて、全体を統括する事業所があり、専属の事務職員等がいて事務処理・研修・対外処理をまとめて作業することで効率的な管理がなされています。小規模な事業所はこの事務職員等の費用もひとつの事業所で負担しなければなりません。また、医療機関、介護保険施設に併設された事業所では、この事務職員等の費用を負担してもらえる場合とでは大きな差が生じます。事業所の規模が大きい場合は、この事務職員等の負担は全体のわずかな負担になりますが、小規模な事業所は大きな比率を占めることとなります。
 この環境で、もっともウェイトを占める賃金で収支を調整するため、賃金に差が生じているものです。
 
●事業所の考え方による
 事業所の方針で、時間外手当、常勤と非常勤の比率、交通費、保険、事業所の利益の運用の仕方によっても、賃金の違いが生じています。
 平成21年より処遇改善交付金、H24年度より処遇改善加算が支給されるようになりました。訪問介護員に配分されていることを確認しましょう。
 
 
Q13:移動時間または距離が長く、1日の訪問件数が限られます。もっと効率的に訪問したいです。
 
A13:(回答 日本ホームヘルパー協会東京都支部会長 田中典子)
 
 ホームヘルパー職の働き方には常勤型・非常勤型・登録型がありますが、一番多いのが登録型です。不定期・不安定であり問題が多い中でも、移動時間を支払いの対象にしていないところが圧倒的に多く、訴えが寄せられています。
 当協会の研修でも「片道45分だと辛い」、「20㎞以上の距離のある場所の訪問が多い」、「1時間の活動に対して往復1時間の訪問では時間単位にしたら賃金が安すぎる」、「無駄をなくして合理的にしてほしい」という声がありました。
 訪問介護サービスは相手の生活リズムに沿った援助を求められていますので、もともと非効率な面があります。しかしその非効率性は社会が負うべきもので働くホームヘルパー個人が全面的に負うべきものではありません。
 ところが、上記の声が出てくるのは、現状の多くが働く人個人に訪問サービスの非効率性を負わせている実態を意味しています。人口密集地以外は移動居類が長くなるかと思いますが、事業所全体で工夫してもらいもっと効率的に訪問できるよう計画を立てるべきです。
 訪問時間以外に支払われない場合ではなおのこと配慮されなければなりません。働く意欲を喪失させる結果を招かないかととても心配です。ぜひ働く意欲を保てるような訪問配置になるよう改善してもらってください。


◆業務に関する悩み

 

Q14:利用者の観察のポイントがわかりません。どこに注意したらよいでしょうか?

 

A14:(回答 日本ホームヘルパー協会北九州支部会長 坂本幸美)

 

 

 私たちは業務の中で「利用者を観察する」という言葉をよく使います。まず、観察とはどのような意味なのでしょうか。

 観察とは、視覚・聴覚・嗅覚・触覚など観察者の感覚のすべてを働かせて、利用者の状態を的確につかむこととあります。利用者は人間であり、日々の生活の中で常に変化し続けています。身体的な外見だけでなく、心の状態や微妙な感情の動きなども合わせて観察することが必要です。したがって、漠然とただ見ているだけでは、その変化をつかむことはできません。いつもの状態に比べてどうなのか、昨日に比べてどうなのかをしっかり見るとともに、「何となくおかしい」「いつもと様子が違う」という小さな変化に気づくことが大切です。そのためには利用者のどこを見て何を観察しなければいけないのか把握しておくことが必要です。

 利用者のどこを見て何を観察するかのポイントは、利用者一人ひとり異なります。身体的な外見からいうと、顔色、身なり、視線、皮膚の状態等があり、精神的なものであれば、口調、言葉数、会話の内容、表情等があると思います。特に高齢者の体調不良の兆候は、緩やかに現れ見落としやすいので測定できること(体温・脈拍・血圧)に関しては正しく測定し、また、測定するだけでなく日常の値の情報を得ておくことも必要です。見落としやミス越しがないように日頃から観察項目を定めておくとよいでしょう。観察項目も利用者の生活暦、既往歴、ADL等によって異なります。

 利用者の観察を行うにあたっては観察力のほかにコミュニケーション能力も求められます。意図的な声かけや受容と傾聴の姿勢が大切です。利用者を見て、利用者の言葉に耳を傾け、利用者自身や利用者の生活を理解しようという姿勢で接することにより、観察力がついたり、観察のポイントが見えてくるのではないでしょうか。また、観察する上で大切なことは、ありのままの状態を見ることです。つまり、先入観や偏見を交えたり、固定観念にとらわれた見方をしてはいけないということです。観察項目に見落としがないようにするためには、アセスメントシートを使うとよいでしょう。

 

 

Q15:サービス提供時間が足りず、時間に追われながら行っていますがこれでよいのでしょうか?

 

A15:(回答 日本ホームヘルパー協会東京都支部会長 田中典子)

 

 「訪問時間内にサービス活動内容が終了しない」「時間との戦い」「訪問時間がオーバーしてしまう」「やり残しがあり心残りがするので悩む」等々の声が多く聞かれます。どう考えるべきでしょう。

 

1.訪問介護計画の時間配分は適正ですか?

 計画に沿ったサービスを実施するためには、業務の流れと時間配分が不可欠です。そこがどうなっていますか?時間的に無理な計画になっていませんか?計画を話し合うときにはどの程度時間を見積もるかが伴っていなければ契約にはなりません。何の理由もなく「終わらない」のであれば計画自体を見直して、時間に合う内容に切り替えなければなりません。その時は利用するご本人に「何を省くか」をよく選んでもらう必要があることに注意しましょう。

 なお、訪問介護とは「健康チェック、環境整備、相談援助、サービス提供後の記録等」(老計第10号)が不可欠です。そのため、サービス時間の中にそれらの時間も含めなければなりません。

 

2.あなたは計画に沿った業務をされていますか?

 訪問には目的があり、その方の生活機能を高めるためにサービスに入っているはずです。そのための計画であり、ホームヘルパーはそれに沿った業務をすることが求められています。計画段階できちんと合意がとれていれば利用者とホームヘルパーの業務評価の視点が一致できると考えます。

 

 

 

Q16:介護予防の取り組みについて利用者の理解を得ることが難しく、一緒に行うことができません。

 

A16:(回答 日本ホームヘルパー協会会長 因 利恵)

 

 地域包括支援センターが作る介護予防サービス計画や、サービス提供責任者が作る介護予防訪問介護計画は、本来、利用者了解のもとで作られています。介護予防訪問介護計画や仕事の手順書で仕事を行うことを利用者と契約しているはずです。

 ではなぜ介護予防の仕事ができないのでしょうか。次のようなことが考えられます。

 ①介護予防の制度を理解していない。

 ②正しい要介護認定が行われていない。

 ③意欲低下が起きている

 ④怠け・甘え・介護予防に抵抗する気持ちがある。

 

 原因はいろいろあると思われますが、基本的には前述の介護予防サービス計画や介護予防訪問介護計画書は適切に書かれているか振り返ってみましょう。計画書を作成するためには①~④等について、地域包括支援センターやサービス提供責任者は把握していると思われます。

 計画書に「利用者と共に行う」等の記載があっても、①~④に何らかの問題がある場合にも、サービス提供責任者に相談しましょう。そのときには、こういうことが原因でないかと思われると自分が感じていることを情報として伝えましょう。

 

 

Q17:予防訪問介護のサービスが不足していないか悩んでいます。

 

 

A17:(回答 埼玉県ホームヘルパー協会会長 青木文江、福岡市ホームヘルパー協議会会長 直江誠子)

 

 サービス不足を心配なさっているとのことですが、利用者の心身の状態と照らし合わせてサービスが不足している場合、生活をする上で何らかの支障が出るものです。そのようなときは、区分変更(認定のやり直し)を申請するとよいでしょう。このときのヘルパーの役割は、どのような生活障害が出現しているか、どの程度不足しているのかなどと情報を収集し、サービス提供責任者に報告することです。

 予防訪問介護の利用者は、調理や買い物、掃除等のIADL(手段的日常生活動作)は低下しているものの、基本的にADL(日常生活動作)は自立に近い状態です。過剰なサービス導入をすることは、利用者のADLを低下させてしまう恐れがあり、過不足のない適切なサービス量と、サービスの質を重視することが求められます。

 また、自分でできる身の回りのことを善意といえでも奪うことがあってはなりません。使わない能力はすぐに低下してしまうものですから、できることとできないことをアセスメントして、介護計画を立てる必要があります。その介護計画に基づき利用者の自立を支援することで、利用者本人が自然にQOLの高い生活を実現させていくためのきっかけを作ることが介護者の仕事です。

 

 

Q18:利用者と一緒に行うと、利用者にペースに合わせて進めるため、どうしても時間が足りなくなってしまいます。

 

A18:(回答 日本ホームヘルパー協会岡山県支部会長 山本栄子、日本ホームヘルパー協会北九州支部会長 坂本幸美)

 

 利用者の状態やともに行うサービスの内容が分からないので一般的なお話になりますが、まず居宅サービス計画書や訪問介護計画書に沿った内容であるかを確認しましょう。最初の計画作成時に利用者のご意向を聞きながら、一回の訪問時にどこまで行うのかを決めているはずですから、援助内容を確認して、再アセスメントを行います。

 計画作成時と比べて大きく内容や時間が変わってくるようであれば、再度計画の見直しが必要になります。利用者のご意向は尊重しなければなりませんが、介護保険法の下で行うべきサービスであるかどうかを見極めることも大切です。決められた時間の中で優先事項を検討し、それでも時間がかかることであれば、利用者の同意を得て計画の見直しを行います。

 この際に大切なことは、担当の訪問介護員だけで利用者にアプローチしないことです。サービス提供責任者にきちんと報告を行い、必要があれば関係機関とも連絡をとってもらい、ケアカンファレンスを開いてもらいましょう。

 予防給付も介護給付も「自立支援」が基本的な理念ですから、利用者の心身の状態に合わせた「一緒に行う」「共に行う」援助は大切なことです。サービスを提供することによって、利用者に達成感や楽しみ、喜びを感じてもらうことです。そして一緒に行うことで「がんばってやってみよう!」という気持ちを持ってもらうことです。

 予防給付の主旨は介護度を上げないためにも、できることは行っていただくということにありますが、時間の配分や優先事項は計画に沿って行うことを心がけます。計画どおりにいかないようであれば、利用者の同意を得て、「時間内でできること」を計画します。しかし、あまり時間のことを言うと利用者は負担に感じるでしょうから、このあたりは担当のヘルパーから伝えるよりはケアマネジャーやサービス提供責任者から説明をしてもらうといいでしょう。

 関係者と話し合いながら、適切な回数や時間を利用者とともに考えていくといいでしょう。

 

 

Q19:利用者から、時間終了間際に要望を出され時間が延長になってしまいます。失礼のないようにお断りする方法はありませんか。

 

A19:(回答 日本ホームヘルパー協会会長 因 利恵)

 

 時間終了間際に要望が出されるとのことですが、どのようなサービス内容でしょうか。緊急性のある内容ですか?緊急性のある内容であれば、それはやむを得ないと思いますが、相談内容からすると「失礼のないようにお断りする方法は」とありますので、緊急性がないものと思います。

 訪問介護事業は、訪問介護計画も契約の一部になります。要望されることは、訪問介護計画で業務として書き込まれていることでしょうか。書き込まれていることであれば、業務ですので行わなければなりません。時間内にできないのであれば、業務の方法を考えてみませんか。それでもだめなら、訪問介護計画の見直しを検討する必要がないでしょうか。

 また、時間終了間際に用を頼まれるときは、一人になる不安や寂しさを解消したいという気持ちの表れである場合もあります。

 何が原因なのかをアセスメントしてみてください。原因がわかれば対策が立てられます。また、訪問介護員だけで解決できないときには、サービス提供責任者に相談されることをお勧めします。

 

 

Q20:「訪問介護計画」に記載されていないことまで、利用者からサービスの依頼を受けますがどうしたらよいでしょうか。

 

A20:(回答 和歌山県ホームヘルパー協会会長 守山美加)

 

 庭木が伸びたので剪定してほしい、クモの巣が出入り口にたくさんあって見苦しいので除去してほしい、家のまわりの溝を掃除してほしい、雑草の除去をしてほしい……等々、家の周辺に関することだけでも訪問介護計画に記載されていない依頼をたくさん受けます。

 家の中では、電気器具の修理、蛍光灯の取り換え、食事の面では、お正月前におせち料理の依頼、同居家族への食事提供サービス、ペットの餌の購入依頼など、介護保険に適用されない仕事を頼まれた経験はみなさん少なからずあるでしょう。

 まず、訪問介護とは被保険者が収めた保険料と税金により社会的な介護サービスが提供されており、私たちホームヘルパーは、訪問介護計画書に基づいてそのサービスの提供にあたっていえることを心得ておきましょう。

 また、自治体ではそれぞれ内容は異なりますが、介護保険外サービスを行っている場合もありますので相談してみてください。利用者のご家族等に事情を説明しバトンタッチする方法もあります。それでも解決しない場合、利用者の実費で介護保険外サービスを行う事業者もありますので、利用者やご家族に提案してみましょう。

 「ついでに…」と利用者家族の食事の用意を頼まれるケースもあるかと思います。ホームヘルパーなら誰でも理解していてほしい事項ですが、ホームヘルパーは利用者の自立支援のために援助に入っているのでご家族の食事を作ることはできません。注意してください。また、これについてはご家族の理解をいただくことも必要でしょう。

 いずれにしても、現状をサービス提供責任者に報告しましょう。ホームヘルパーとして、利用者に必要とされる援助であれば、訪問介護計画に書き込むこともあります。

 

 

 

Q21:事業所内で連絡体制が確立されておらず不安です。

A21:(回答 日本ホームヘルパー協会会長 因 利恵)

 基本的には、サービス提供責任者を中心に連絡体制ができているはずです。質問の連絡体制とは何を指すのかがわかりませんが、次の2つのことが考えられます。
 
 ①事業所との連絡体制
 ②訪問介護員同士の連絡体制

 ①については、平成18年4月運営基準改正時に、「訪問介護員とサービス提供責任者は相互に連絡を取り合うことが基本的姿勢である」と厚生労働省より示されました。
 つまり、訪問介護員は、「利用者宅への訪問後にはサービス提供責任者に報告すること」。サービス提供責任者は、「利用者宅を訪問する前と後に訪問介護員に連絡を取ること」、となっています。
 利用者宅を辞去後、まず、あなたから連絡をいれるようにしましょう。
 ②については、サービス提供責任者を介して連絡を取ることが望ましいことが多いので、これもあなたから相談してみましょう。
 事業のシステム上、訪問介護員同士が勝手に連絡を取り合って仕事をすることはメリットがなく、混乱の元になったりしますので、連絡の中心はサービス提供責任者だと思います。
 介護支援専門員や医療関係者、福祉関係者、インフォーマルサーポートとの連絡もサービス提供責任者にお願いしましょう。窓口がいくつもできると混乱します。
 もしくは、サービス提供責任者が忙しく連絡が取れないとのご相談ということであれば、緊急時の連絡体制を教えておいてもらいましょう。
 前述のように、連絡体制が必要なことを厚生労働省が示していますので、連絡を取り合う体制作りが必要です。


Q22:一人の利用者に対して複数のヘルパーが入っているとき、連絡をうまく行うことができず、情報交換ができません。何かよい方法はありませんか。

 

A22:(回答 日本ホームヘルパー協会北九州支部会長 坂本幸美)

 

 私たちホームヘルパーが、よりよいサービスを提供するには「情報の共有化」による共通認識を持つことがとても大切です。

 まず、情報の共有化を図るためにサービス開始前にカンファレンスを開き、利用者の基本情報(身体状況、生活暦、住宅環境等)や課題、目標について話し合い、利用者に関わるヘルパー全員が理解できるようにします。そして、サービス内容の確認も行います。

 次に、カンファレンスで話し合うだけでなく、カンファレンスの内容を文章化してより明確にします。文章化したものが、訪問介護計画書であり手順書でもあります。訪問介護計画書をヘルパーに配布できなければ、利用者宅内でみんなが見られるところに掲示するか、事業所の記録にはさんでおくとよいと思います。

 以上のように、カンファレンスを開き話し合うこと、訪問介護計画書や手順書で文章化することによって、関わるヘルパーが利用者の情報やサービス内容を理解することが必要です。

 基本的には、記録が情報交換の方法です。訪問介護計画書に沿ったサービス内容、記録ができているか、訪問して活動前に前回訪問時の記録をきちんと読むことができているかを確認しなければいけません。また、活動後、何を申し送ればよいかが理解できていないと、情報提供や連絡ができないことになります。逆に考えて自分が利用者宅に訪問するとき、どのような情報がほしいかを考えるとわかりやすいのではないでしょうか。活動記録、介護記録の内容によって異なることはあると思いますが、記録で伝え足りない場合は電話連絡が必要となり、緊急性のあるものは、必ず電話での連絡、報告が必要です。サービス開始後も1ヶ月に1回または、最低3ヶ月に1回カンファレンスを開き、定期的に情報交換する場を作ることが必要です。

 

 

Q23:一人の利用者に対して複数のヘルパーが入っているとき、業務内容、意識が統一できません。何かよい方法はありませんか。

A23:(回答 鹿児島県ホームヘルパー協会会長 池田喜代子)

 意識を統一するためには、利用者を取り巻くチームワーク作りが第一と考えられます。
 そのためには、上手なまとめ役としてグループリーダーを決め、それぞれのヘルパーが本音を出せるような雰囲気づくりをすることが大切になります。時間で働くホームヘルパーにとっては、連絡帳による細かな申し送りも欠かせません。
 例えば、私の経験ではポータブルトイレに腰かけないと便が出にくい利用者のベッドからポータブルトイレへの移乗方法に対して相談すると、みんなが自分のやり方を回答してくれるので、自分に合った方法を取り入れることができ、チームワークの強さを感じることができました。そして各ヘルパーがチームみんなに「~な方法を取り入れてうまくいっている」という返事を「ありがとう」という言葉を添えて返すことを忘れないようにしています。
 自分本位で動くことで、統一が難しくなりがちなので、いろいろな意見に耳を傾けることが必要です。
 業務内容の統一については、定期的にケース検討会を開くことが大切で、自分が支援していることを出し合い、プランに沿っているのかの検討をしていきましょう。
 例えば、OJT(職場内教育)を導入して、リーダーが一緒に入り指導を行うことで統一できる方法もあります。
 チームの一員であることの自覚を持ち、質を高めていく必要があります。

 

Q24:カンファレンスを開いてくれない、また非常勤なのでカンファレンスで意見が言えません。

A24:(回答 日本ホームヘルパー協会岡山県支部会長 山本栄子、福岡市ホームヘルパー協議会会長 直江誠子)

 まず、現場の訪問介護員として、なぜカンファレンスが必要であるか、どのようなカンファレンスが必要なのか、サービス提供責任者にきちんと申し出を行いましょう。
 訪問介護計画に沿って業務を行うのが難しくなってきた場合や、利用者の心身に大きな変化が現われて、現行の訪問介護計画を変更した方がよい・・・・・・等、理由を明確にして、カンファレンスの開催を申し出てください。利用者に関する事柄については、常勤も非常勤もチームの一員ですから、非常勤だからカンファレンスに出席しなくていいと、分け隔てをする理由にはなりません。
 サービス提供責任者は、訪問介護員から利用者の様子について報告を受けることになっていますし、訪問介護員は報告の義務があります。
 また、サービス提供責任者は訪問介護員に対する研修、技術指導等を実施することになっています。これらのサービス提供責任者と訪問介護員の責務を遂行することによって、利用者への質の高いサービスがお届けできると思います。
 カンファレンスは利用者の心身の状況が正しくアセスメントできているか、正しくサービスが行われているか、見直しは必要ないか、などのケアマネジメント手法を検証するためにも必要です。訪問介護計画の変更はどのようなカンファレンスの結果であったか・・・という根拠にもなるものです。カンファレンスの検討結果は出席者全員の氏名・職種を記入して保管する義務があります。
 現場のヘルパーさんだからこそ分かる利用者の心身の状況、知り得る情報などがあります。利用者の最も適切なサービス提供のためにも、カンファレンスが必要だと思われたときは、サービス提供責任者にその旨を申し出てください。





Q25:サービス提供責任者の指示に一貫性がなく現場が混乱しています。

A25:(回答 日本ホームヘルパー協会岡山県支部会長 山本栄子)

 サービス提供責任者がこのようなことでは困りますね。サービス提供責任者の業務は以下のとおりです。確認してみましょう。
 サービスの提供は、居宅サービス計画書(介護支援専門員が作成するケアプラン)とサービス提供責任者が作成する訪問介護計画書に沿って行われます。
 サービス提供責任者は、提供するサービスが公平で適切かを判断しなければなりません。また、ヘルパーによってサービスのバラつきがないように、利用者に一貫したサービスを提供する義務があります。事業所の要といわれるサービス提供責任者は、利用者とヘルパーが相互に気持ちよく過ごせる時間をコーディネートします。また何より利用者に不信感や不安感を抱かせたり、不利益が生じないように気をつけます。
 現場で困っていることがあったり、サービスの見直しの必要性を感じたら、サービス提供責任者に報告を行い、担当者会議を開いてもらいましょう。サービス提供責任者には、職場における諸問題についての会議を開催することが義務付けられています。

「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
(平成11年3月31日 厚生省令第37号)

第28条
3 サービス提供責任者は、第24条に規定する業務のほか、次の各号に掲げる業務を行うものとする
一. 指定訪問介護の利用の申込に係る調整をすること。
二. 利用者の状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握すること。
三. サービス担当者会議への出席等により、居宅介護支援事業者等と連絡を図ること。
四. 訪問介護員等(サービス提供責任者を除く。以下この条において同じ。)に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を伝達すること。
五. 訪問介護員等の業務の実施状況を把握すること。
六. 訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理を実施すること。
七. 訪問介護員等に対する研修、技術指導等を実施すること。
八. その他サービス内容の管理について必要な業務を実施すること。

(※第24条・・・訪問介護計画の作成)



















Q26:介護支援専門員の作成したケアプランが利用者の実態を反映していないと感じています。

A26:(回答 和歌山県ホームヘルパー協会会長 守山美加)

 介護支援専門員が利用者のアセスメントをする際に、本人のQOL・ADL・IADL・生活暦・環境・性格・要望等を正確に把握できなかった可能性があります。
 また、実際に利用者の生活に密着してサービスを行うホームヘルパーだからこそ、介護支援専門員が把握しきれなかったことに気が付くことができます。ヘルパーは利用者の真意を汲み取り、サービス提供責任者に報告・連絡をしましょう。また、サービス提供責任者は、介護支援専門員と連携をとり、話し合い、利用者本位のケアプランとして見直しが図られるよう、サービス担当者会議を重ねていきましょう。
 それには常に、介護支援専門員、サービス提供責任者、ホームヘルパー、他の関わっている専門職等と連携が取れる体制が必要です。
 
 
Q27:業務記録についての内容及び記載方法について教えてください。
 
A27:(回答 山梨県ホームヘルパー協会会長 十五陽一郎)
 
 
 業務記録はなぜ必要なのでしょうか。
 
1.仕事のエビデンス(根拠)として
 「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年3月31日 厚生省令第37号、平成18年3月31日 厚生労働省令第79号改正現在)」第19条2項に、提供した具体的なサービスの内容等を記録することとなっています。記載する内容に関しては老計第10号に訪問介護におけるサービス行為毎の区分が例示されています。記載の内容に関して参考になさったらいかがでしょうか。業務記録は、事業所に提出する訪問介護員の仕事のエビデンスとして必要なものです。
 
2.利用者の日常生活変化を知るために
 ケアマネジメントでは、現状を把握し、日常生活に支障をきたし、かつ利用者の生活への希望に焦点を絞ったケアプランが作成され、プランに沿ったサービスが提供されます。そして、提供したサービスが適正であったかを評価し、評価の反省に立ち改善または現状維持とするといった流れが生まれます。業務記録は、利用者のADLや意欲の状況、主な訴えやサービス提供時の特段の要望、家族を含む環境の変化、サービス提供時の状況などをもっとも反映した情報となります。
 
3.仕事の引き継ぎのために
 在宅介護サービスでは、利用者のご自宅での状況を的確に把握することが重要です。チームケアでは、ほかのサービス提供者に利用者の状況を引き継ぐために業務記録が必要です。
 
4.リスクマネジメントのために
 業務記録は、利用者のために記録するものだけでなく、リスク(危険・危機・損失等)の事前的な予防処置を施し、自己防衛のためにも必要です。
 記載の方法については、チェック方式、コード記入方式、自由記述方式、混合方式があります。
 チェック方式では、チェックをするだけで記録時間が短くてすむ利点がありますが、マンネリ化で変化に気がつきにくいという欠点もあります。コード記入式では、パソコンで管理をする場合は扱いやすく、今後この方式が使いやすくなると思われます。自由記述式では、利用者等の訴え(主観的な事実)、サービス提供者が見たこと(他覚的な所見、客観的な事実)、事実に基づく感想・判断、見直し案(方針の決定)などの視点で記述しますが、文章が長くなり読むのに苦労するため、簡単な記述が求められます。混合方式については、ほとんどの事業所がこの方式を取られているのではないでしょうか。それぞれの方式のよいところを採用し、業務記録としてそれぞれの事業所で独自に運用されています。
 
 
Q28:訪問先で失礼のないような言葉遣いをしたいと心がけていますが、何かよいアドバイスはありますか。
 
A28:(回答 日本ホームヘルパー協会東京都支部会長 田中典子)
 
 コミュニケーションの取り方に悩む声が多くあります。「声をかけても返事がない」、「苦手な利用者と会話ができない。何を話そうか悩む」、「返事だけで会話が続かない」、「相手に言葉が伝わらない。誤解されやすい」、「利用者との会話がうまくできない」等々。
 
 1.一番大切なことは「あなたを尊重しています。とても大切に思っています」ということが伝わるかどうかです。人間は「自分が尊重されているか、馬鹿にされているか、粗末にされているか」を敏感に感じ取ります。言葉遣いだけでなく、仕草、声のトーン等々から判断されます。特に日本の風土は呼称を始め、表現方法がたくさんあり、慎重な選び方が求められます。
 
 2.「利用者の主体性を無視していないか」がキーポイントです。人は各々に自分の感じ方、考え方を必ずもっとおられると固く信じて問いかけ、その答えを待つという姿勢が介護側に問われています。全体的に介護現場に希薄なところです。すぐにこちらから提案しがちです。注意しましょう。
 
 3.尊敬語を多く使えばよいというものではありません。その方ご自身がなじんでおられる言葉の中で尊重を表現できれば一番良いと思います。方言も混じればより柔らかく伝わりやすくなります。
 
  4.顔をしっかり見て話しましょう。その人の「ひとみ」を覗きこむように「大丈夫?」「気分はどうですか?」とゆっくりしっかり話すことを心がけてみてはどうでしょうか?特に認知機能の低下された方に安心感を持ってもらえると思います。試してみてはいかがでしょうか。


◆利用者に関する悩み
 
 
Q29:利用者自身の自立への意欲が乏しく、ヘルパーへの依存がみられます。どうしたらいいでしょうか。
 
A29:(回答 埼玉県ホームヘルパー協会会長 青木文江)
 
  利用者との関わりを通して、自立への意欲が低い、あるいはヘルパーへの依存が高いと感じたときに、「早く元気になってほしいけれどどうしたらよいかしら」、「私が甘えさせてしまったかしら」などと悩み、自問自答した経験を持つヘルパーさんも多いことと思います。
 ヘルパーにとって、利用者が元気でいきいきと生活していくことが願いであると同時に、ヘルパー自身に元気や勇気、あるいは希望を与えてくれます。そして何よりもヘルパーとしても喜びを感じ、明日の仕事へとつながっていくことも多いようです。それゆえ、意欲を失ってしまった利用者の姿を見るのはつらく悲しく、「一日も早く元気になってね!}と願わずにはいられません。そしてこの願いは必ず利用者に届くものだと、まずは信じましょう。
 話は変わりますが、人は誰しも元気なときには、「自分のことは自分でしたい」という気持ちを持って行動するものではないでしょうか。なぜならば、遠慮や気兼ねがないからでしょう。しかし、病気になったり、親しい人や愛する人たちと離れたり別れたりしなければならくなったとき、私たちの心はいつものように「元気」を保つことができるでしょうか。どんな人でも寂しい気持ちや悲しい気持ちに見舞われ、ある人はその寂しさや悲しみの裏返しとして人に甘えたり、わがままを言ったり、困らせたり、そんな気持ちをわかってほしくて誰かに依存してしまうこともあるでしょう。また、ある人は一人で悩んだり、落ち込んだり傷ついたりしながら、いつしか人の交流を避けたり、自ら意欲を失っていくこともあるでしょう。
 このようなとき、利用者が「本来持っている力」を引き出すための働きかけをしなければなりませんが、ヘルパーは焦らず、諦めず、時期が到来するまで根気強く利用者を信じて待つことが大切です。
 また、利用者に「自立」への意欲を持ってもらうためには、意欲を持てない原因を探る必要があります。なぜ意欲が持てないのか、なぜ依存してしまうのか、その原因を知るためにまずは利用者の声に耳を傾けるとよいでしょう(傾聴)。そして何の偏見も持たずに、利用者の気持ちをそのまま受け止めます(受容)。さらに、受け止めた気持ちを相手の立場に立って、まるで自分のことのように思いを汲み共有していくことが大切です(共感)。
 このようにして信頼関係が築かれると、利用者は「このヘルパーならわかってもらえそう。安心して自分のことを話すことができる」などと、初めてヘルパーに心を許し、自分の思いや考えを打ち明けるようになるものです。その結果、利用者の「自立」を妨げている原因を掴むことができます。原因を掴んだら、解決できる方法を一緒に考えましょう。
 
 「自立」の考え方に次のような例えがあります。
 一緒に魚をとる⇒魚のとり方を教える⇒魚の居場所を教える
 
 魚の取り方と居場所が分かれば、自分で魚をとることが可能になる(自立)という考え方ですが、最初に自立を目的として、利用者と共に行動しながら不安感を取り除きます。次に自立のための方法や手立てを通して、徐々に利用者の自信を回復させていき、最後に目配り、気配り、心配りをしながら回復した意欲が持続できるように支援していくとよいでしょう。
 
 
 
 
 
Q30:複数のヘルパーが入っている利用者から、他のヘルパーの良し悪しを聞かされ対応に困ってしまいます。
 
A30:(回答 埼玉県ホームヘルパー協会会長 青木文江)
 
 利用者からヘルパーの良し悪しを聞かされたら、どのような返事をしてよいか誰もが迷うでしょうね。このようなときには、単なる愚痴話なのか、それとも検討が必要な内容であるかを見極めることが大切です。同時に不平不満の度合いなども把握しましょう。特に深い意味もなく単なる愚痴話であれば、まずは話を聴きましょう。ヘルパーが話を聴くことで利用者の気持ちも楽になるのではないでしょうか。
 検討が必要な場合は、チーム全体(サービス提供責任者が中心)で考えます。チームの一員として利用者への受け答えが求められます。
 利用者の話を最後までよく聴いた上で「貴重なお話ありがとうございました。誰もが良い対応ができるようチームで考えます」と、このように答えてはいかがでしょうか。
 ホームヘルパーは私的な関係で利用者宅を訪問しているわけではありません。利用者からも苦情も困ったなと思うことも全てが仕事を通して知り得た情報の一つです。仕事を通して知り得た情報であれば、利用者から聴いたことは業務報告として、利用者了解のもと、客観的に報告する必要があるでしょう。
 そして、チームメンバー全員でその原因を考えたり、話し合ったりすることで改善を図りますが、その過程でそれぞれが知り得なかった利用者の実態像が浮かび上がってくることも多々あります。「あなただからお話しするけれど」と全員に同じことを言っていたり、他人事と思って聞いていたら実は自分も言われていたことが判明したり、振り返ることができなかった自分に気づいたりします。利用者によっては、気づいてもらいたくてわざと話を持ち出すこともあるようです。
 このようにいろいろな情報を通して「目から鱗が落ちる」ように改めて利用者が見えてきます。利用者のことを知っているようでも、「ひとりの眼」には限界がありますが、「チームメンバーの複数の眼」を通して自分を成長させることができるのです。複数のホームヘルパーで担当する場合、
●チームの一員であることをそれぞれのホームヘルパーが認識しましょう
●チーム一人ひとりの考え方や価値観を理解し合いましょう
●チーム全員がチームで関わる必要性や目的を理解するとともに共通したサービスの考え方を持ちましょう
●チーム全員で目標や情報を共有しましょう
●チーム全員でサービスの質や方法を統一しましょう
 
Q31:複数のヘルパーが入っている利用者から、サービスの内容について他のヘルパーと比較され困っています。
 
A31:(回答 千葉県ホームヘルパー協議会会長 境野みね子)
 
 サービスの内容について比較される原因はいくつもあり、比較されることだけに注目してしまいがちですが、訪問介護事業所として利用者のニーズに即しているか、利用者本人や家族とサービス内奥を確認し同意を得ているかを確認することが求められています。
①ケアマネジャーのプランに基づき訪問介護計画を作成し、初回のケアをサービス提供責任者が行い、利用者本人や家族と計画を確認し同意を得ているでしょうか。
②サービス提供責任者は、派遣されるヘルパーを集め、訪問介護計画や手順書を元に話し合い、ケアを行う目標を自覚して支援することを説明しているでしょうか。
③サービス提供責任者は、初回のヘルパー同行時に、利用者の同意を得たことについて手順書を元に説明を行い、利用者とヘルパーの合意を得ているでしょうか。
④2,3ヶ月ごとに1回以上、目標の進み具合をケースカンファレンスで話し合い、利用者の状況を把握してきます。多くのヘルパーが入る場合は、サービス提供責任者はモニタリングの際に利用者の意見やサービス内容を確認しヘルパーに伝えているでしょうか。
⑤比較された場合は、原因を利用者と話し合い解決方法を探ります。手順書の見直しやモニタリングを行うことで利用者の同意を得ることが大切です。
 
 
Q32:利用者の希望によりお気に入りのヘルパーに固定され、ほかのヘルパーにしわ寄せがくることがありますが、これでよいのでしょうか。
 
A32:(回答 栃木県ホームヘルパー協議会会長 仁平明美)

 特定のヘルパーが気に入られる理由はどこにあるか、事業者は原因を把握しなければならないでしょう。個人の資質なのか、技術的なことなのか、馴れ合い的なものなのか、上手な引き継ぎにより改善できるものか、あるいは、契約当初にヘルパーの交代があることを明確に伝えているか等、いろいろあります。
 慣れたら変わりたくないのが利用者の誰もが持つ当たり前の心情ですが、顔見知りのヘルパーが休んだ時のために交代要員が必要であることを納得するまで話し合ってみましょう。
 また、交代時に担当ヘルパーからも利用者と話す等の配慮がなされているかも大切なことです。いずれにしても、事業所の取り組み方が問われているのかと思われます。現実には何を言っても一人のホームヘルパーに固執する利用者がいるとは思いますが、他のヘルパーにしわ寄せがいくほどだとしたら、研修や体制の見直しにより改善を図る必要があるでしょう。
 
 
Q33:利用者から家族間のプライベートなことを話されて、対応に困っています。
 
A33:(回答 函館市ホームヘルパー連絡協議会会長 酒井雅子)
 
 ホームヘルパーの基本的なサービスに相談業務があるので、利用者のお話を伺うことは大切な業務の一つです。
 利用者がホームヘルパーに話してみたら、案外すっきりしたということもあります。ホームヘルパーは、話を伺うときには「中立公平」の態度で臨みます。公私混同したり、巻き込まれたりしないことが大切です。内容に応じては身内の方への相談を助言したり、専門機関での解決を提案したりしてみましょう。
●家庭内の問題は難しいので深く立ち入らない方がよいでしょう。
●認知症がある利用者に対しては傾聴し、ご家族には「ご本人の安定を図ることを第一に、否定せず同調する場合がある」と前もって伝えておくとよいでしょう。
●ホームヘルパーの対応にも問題がある場合も考えられますので、事業所としては利用者の話を受容しつつホームヘルパーとして個人的に立ち入ることはできないという態度をはっきりさせるようホームヘルパーに指導しましょう。
 
 
Q34:利用者が冷蔵庫の中の腐った食材を処分させてくれません。
 
A34:(回答 日本ホームヘルパー協会会長 因 利恵)
 
 おなかをこわさないかなどが心配ですよね。気持ちはよくわかります。しかし、利用者は食材が腐っていると思っているのでしょうか。物のない時代を生きてこられた利用者は、物を大切にされます。私たちから見て腐っていると思われる鶏肉を洗ってぬめりをとり、煮炊きして食べられる利用者もおられます。
 すえた臭いがするご飯も、洗って天日に干し甘辛く味付けたお菓子にして食べた経験もあります。帰省した息子さんからお土産にもらったスイカを腐っても大事に飾っていた利用者もおられました。
 まず、否定したり処分を考える前に、どうしたいのかを尋ねましょう。料理して食べたいのであれば、料理のお手伝いを申し出てみましょう。前述の鶏肉のような例は洗ってみると使えるのかどうか利用者にもわかりますので、共に行って納得していただきましょう。ご飯も粘りが出たりすえた臭いがしているものは、ざるの上で洗えば悪いところはざるの目から流れ出てしまいます。その様子を利用者が見られたら納得していただけると思います。
 餅やパン等のかびはその部分だけを取り除けば食べることができます。私たちは何でもすぐに捨てますが、利用者のほうが生活の知恵を持っておられることが多いものです。
 上記のような方法が取れない場合は、きちんと説明しましょう。「お腹をこわすと大変であり、体力を消耗して弱ってしまう例をいくつも経験したので、あなたのことが心配である」等です。冷凍などで保存する方法も提案してみましょう。
 高齢者は視覚や味覚や臭覚が落ちています。食材が悪くなっていることに気が付かないようであれば、臭いや色を伝えるだけで納得される方もおられます。認知症で物をため込む利用者の方もおられます。判断能力が落ちているようであれば、わからない程度に整理していくしかないこともあります。
 
 
Q35:いつも買い置きされている材料が同じで献立が偏ってしまいます。どうしたらよいでしょう。
 
A35:(回答 埼玉県ホームヘルパー協会会長 青木文江)
 
 調理を行う際には、利用者の好みを重視しながらも、健康を維持していくために栄養の偏りがないか大変気にかかるところです。
 一方で、食材を十分に揃えるには経済的なことも考慮しなければならず、ヘルパーはその狭間で悩むことが多々ありますが、なかでも食への関わりを通して「生命の尊厳」が保たれるのか否かを見極めることが最も重要といえるでしょう。単に調理を行うものではないということを理解しましょう。
 ところで、「いつも買い置きされている材料が同じで献立が偏ってしまう」というご質問ですが、必ず原因があるはずです。どのようなことが原因として考えられますか?その原因によって対応が変わると思います。まずは原因を探すことからはじめましょう。
 原因を探すには食べ物の話がよいでしょう。比較的話題にしやすいので、ヘルパー自身が話題を提供し、利用者自身が持っている「食への関心」を把握してみましょう。
 「食べなれないものは口にしたくない」、「嫌いなものは食べたくない」などと、本人のこだわりがあって同じ食材になってしまう場合、「こだわり」を尊重しながらも、このような場合には食材を増やしていくことより、最初は同じ食材を利用しながら調理法や調味料で変化をつけて反応をみてはいかがでしょうか。
 買い置きされている材料が同じだから献立が偏ってしまうと考えるのではなく、食材は同じでもいつも同じ調理を依頼されるわけではありませんので、ひとつの食材から色々な調理法を考えて、レパートリーを増やす工夫も必要ではないでしょうか。
 たとえば、野菜、魚、肉と一口にいっても、「生」「煮る」「蒸す」「焼く」「茹でる」、味付けにしても「和風」「洋風」「中華」そのほかにもいろいろな地域特有の味付けがあります。ひとつの食材から多様な調理を行うことは、ヘルパー自身が調理の本を読んだり、調理番組を見たり、調理実習に参加したりしながら技術を磨いていくことが欠かせません。
 そして、時間をかけて少しずつ利用者の「食への関心」を引き出すことが大切です。レパートリーも増えて、やがては食材も増えていくものを思います。
 また、もともと「食への関心」が薄く、「特に食べたいものがない」あるいは「分からない」「何でもよい」と、そのためにいつも同じ食材になってしまうこともあるでしょう。このような場合には、一緒に調理の本を見ながら「おいしそう!!」「これ作ってみましょうか」などと声に出して、利用者の反応を見てみるのもひとつの方法です。「おいしそう」という言葉が返ってこなくても、しっかりと表情を見逃さないように注意しながら、良い反応であれば新たな一品に挑戦してみましょう。また、食への関心が薄い場合、その他の関心についても同様のことが言えますので「一緒に作りましょう」と促すこともよい方法だと思います。反応が悪い場合は、「今度作りましょうね」などと、必ず次回につながるように働きかけましょう。
 その他にも、アレルギーのある利用者はどうしても食材が偏りがちになる傾向が高いようです。食べたくても食べられない辛さを理解しましょう。入れ歯のかみ合わせが悪かったり、便秘などで苦しんでいる利用者は、自分なりにどんなものを食べたらよいかよく考え食材を選んでいる場合が多いようです。また、辛さを一人で抱え込んでいることも多いので、吐き出して楽になれるよう支援しましょう。
 同じものを買ってくることが目立つようになると認知症も疑われます。そのような場合は、早急にサービス提供責任者に相談しましょう。また、経済的な理由や虐待が発生している場合もあることも理解しておきましょう。
 ヘルパーが調理を代行したり、一緒に行うということは、調理という行為を通して、利用者の「心と体の健康」を目的としていることを改めて認識したいと思います。
 
 
Q36:利用者が無気力で、一緒に「~しましょう」と声掛けをしても反応がありません。どうしたらいいでしょうか。
 
A36:(回答 福岡市ホームヘルパー協議会会長 直江誠子)
 
 
 なぜ無気力になっているのでしょう。その原因を考えてみましょう。原因がわかれば自ずと対応がわかります。
 また、生活暦や趣味、興味のあることについて、会話の中から利用者の楽しいと思われることを探し出すことから始めてみましょう。孫を可愛がっている人であれば一品料理を一緒にしてみたらいかがでしょう。「今度いらしたときに作ってあげたら喜びますよ」と提案していくことが大切です。利用者によって、やる気の引き出し方は一人ひとり違っていると思うので、常にアンテナを張っておいて、糸口を見つけ出していきましょう。何か一つできたら頑張れた姿を認めて褒めていくようにしましょう。
 
 
 
Q37:声けをしても返事がない、会話が少ない利用者とのコミュニケーションの取り方についてどうしたらよいでしょうか。
 
A37:(回答 鹿児島県ホームヘルパー協会会長 池田喜代子)
 
●声掛けしても返事がない、鍵を開けてくれないために支援ができないことが多いという場合
 警戒心が強く、人をなかなか受け入れない利用者に対しては、担当ヘルパーを一人決めて、日頃関わりを多く持つ民生委員や保健師にもお願いし、訪問回数を重ね、若い頃の思い出や親・兄弟の話をしながら共感の態度で接してみましょう。
 また、利用者の思い込みや誤解から、心を開いてくれないということもありえますので、家族からも情報を得て、利用者自身をしっかりと受け止め、信頼関係を築いていきましょう。
 一方では、精神的な病気も考えられますので、よく話を聴いても原因がつかめないときには専門医の受診も勧めてはいかがでしょうか。
 
●会話が少ない利用者に対して
 積極的に話しかけることも大切ですが、話の間(ま)をとることも大切です。また、利用者の関心を持っていることを知る努力をしましょう。旅行好きな人であれば各地の名所・旧跡・名産・地理についての知識があればあるほど、会話の意欲を引き出すことができると思いますので、共通の話題が持てるように、介護者も努力が必要になります。
 
●対人接触を嫌がる場合
 その人がどうしてそうなったかという情報を得ることも大切になります。利用者の心を観察しながら、なぜ人との接触を嫌がるのかを早く見つけることが解決のヒントにつながります。
 一例としては、猜疑心があり、近隣の人にも心を開かない人に対して次のような関わりでうまくいったケースです。
 訪問する度に、「来るな」「帰れ」などの暴言の連発だったにも関わらず訪問を受け入れてもらえるようになった利用者は株の取引きをしており、タンス預金がたくさんあったことから、人が来ることを嫌がっていた経緯がありました。よく聴いてみると、毎日声をかけて心配してくれる人がいたことを知ったといわれました。ヘルパーの誠意が伝わったことで今は支援ができるようになりました。
 気心が知れるまでには時間がかかる場合があります。焦らず、あきらめず続けることが大切です。
 
 
Q38:認知症の利用者に妄想などの思い込みがあります。そのように対応すればよいでしょうか。
 
A38:(回答 千葉県ホームヘルパー協議会会長 境野みね子)
 
 認知症の方の介護は大変ですね。お気持ちはよくわかります。
 物盗られ妄想を例に考えると、利用者は現に、手元から物やお金等がなくなり混乱しているので、可能であれば一緒に探してみてはいかがでしょう。
 認知症の方の行動・心理症状には何らかの背景や原因があると言われています。日々の観察を通してそれを探ってみましょう。
 具体的な対応方法の例を挙げると、「お金を盗まれた」という被害妄想に対して「私は知りません」「盗ってはいません」と感情的に反応しがちですが、ホームヘルパーだけで対応しないで、利用者は家族とよく話し合ってそれを記録に残し、訪問介護事業所での対応の仕方を共有しましょう。
 ヘルパーも生身ですから、介護をしている利用者から盗みの疑いをかけられたのでは悲しくなるのはわかります。しかし、プロとして常に冷静に対応することが大切です。また、事業所はヘルパーの心のケアを行うことが必要です。
 認知症からくる妄想、記憶障害、幻覚はよく起こる症状であることを認識し、家族や本人と話し合い、対処法などを手順書等に記載しましょう。再度起こりうるリスクマネジメントとして、記録して対応を考えることが必要です。
 
 
Q39:認知症の利用者に接する場合の基本的な事項について教えてください。
 
A39:(回答 埼玉県ホームヘルパー協会会長 青木文江)
 
 認知症の基本的な症状として、記憶障害・見当識障害・判断力障害等があります。意志表示や判断が困難な利用者へのかかわりに戸惑うこともあるでしょう。対応の留意点は、本人の自尊心を傷つけないことです。行動を制限されたり、子ども扱いされるとプライドを傷つけられたと思い込み感情的になったり、頑なになったりします。
 自尊心は最後まで残り、言葉がよく理解できなくなっても快・不快で判断し自己決定をします。判断能力が低下しても人格を尊重した介護を行い、間違いを否定したり訂正したりするよりも受け入れる対応が必要です。まずは「聴く」姿勢を示しましょう。それから、認知症の多くは進行していきますので、日々の変化を見逃さないこと、介護者自身の「心身の健康」が大切です。認知症高齢者の行動・心理症状には、その人なりの理由があると言われています。ゆっくり考えてみましょう。
 
※日常生活によくある具体的な対応
●物忘れ・・・食べたばかりでも食べたことを忘れてしまう場合は、本当のことかどうかではなく本人に納得してもらうことが重要です。「もうすぐできるから待っていてね」などと待つうちに忘れてもらうことも一つの方法です。
 
●妄想・・・「財布が盗まれた」と言われた場合は一緒に探し、見つけたら相手が見つけられるよう導きましょう。
 
●人物誤認・・・人を間違える場合はその人になりきったり、悪者に間違えられたらその場から一度離れて、全く違う場所から入って別人になって対応しましょう。
 
●見当識障害・・・「今日は何日」などと繰り返し聞いてくるのは、今がいつなのかという不安の裏返しです。大きな日めくりカレンダーを用意しその前で一緒に納得したり不安を取り除きましょう。
 
●幻覚・・・本人は本気で怖がっているので「誰もいない」と説得するよりも「私がいるから大丈夫」などと言って安心感を持ってもらいましょう。
 
●徘徊・・・本人にとっては意味や目的があることをまずは理解しましょう。自宅と認識できずに外に出ようとする場合、説得しても効果はなく、無理に止めれば抵抗して暴力行為に出ることもあります。落ち着いてもらうには本人の気持ちに共感することです。また、室内をうろうろする徘徊もあります。このようなときは快く誘導してあげましょう。目的を把握し、その目的にうまく付き合います。役割を持ってもらうことも一つの方法ですが、何はともあれ本人の主張を認めましょう。
 
●収集癖・・・危険物には注意を要しますが、集めることで日常生活が落ち着いている場合、取り上げると逆効果になる場合もあるので、そのようなときは危険のない限り黙認することも必要でしょう。
 
●興奮・暴力・・・疲れや不満がないか観察します。そして感情的に対応せず本人の言動を否定せず受け止めますが、興奮して感情がコントロールできない場合には、その場を離れ気持ちが静まるのを待って対応します。疾病によっては興奮による血圧上昇や心臓への負担なども考えられますので、叱責・蔑視・拒否・無視などの態度はとらないよう気をつけましょう。
 
 
Q40:発達障害、筋ジストロフィー等の症状があり、コミュニケーションがうまくとれない利用者とコミュニケーションをうまくとるよい方法はありますか。
 
A40:(回答 日本ホームヘルパー協会北九州支部会長 坂本幸美)
 
 まずは、この利用者の病気について理解する必要があります。発達障害、筋ジストロフィーという病気がどのようなもので、コミュニケーションだけでなく、関わる上でどのようなところに留意する必要があるのか等、十分に心得て関わる必要があります。
 利用者の病気を理解することは、利用者を理解することに通じるものです。コミュニケーションの第一歩は、利用者を理解して受け入れるところから始まるのではないでしょうか。利用者を理解するということは短時間でできるものではないので、ゆっくりと時間をかけていくひつようがあるのではないでしょうか。この場合は、利用者側は発語はできませんが、ヘルパー側の言葉かけは通じています。
 利用者の思いは表情や動作から読み取るよう努力しましょう。方法としては、一般的に「筆談」「読話」があります。しかし、個人個人で変わってくると思うので、身振り、手振り等その人に合った方法で利用者に伝わるものを見つける努力が必要です。
 
 
Q41:利用者がお話されるのが好きで仕事になりません。また、時間もオーバーしてしまいます。失礼のないように仕事に集中するよい方法はありませんか?
 
A41:(回答 日本ホームヘルパー協会岡山県支部会長 山本栄子)
 
 利用者の話を伺うことは大変重要なことです。けれども恒常的に時間オーバーになるのでしたら、サービス提供責任者に相談してください。サービスは、介護に介護保険法のもとで提供されるニーズがあり、ケアプラン・訪問介護計画があって提供されるものです。計画見直しの必要性があれば、関係者で話し合いましょう。
 利用者の中には平素のさみしさから、ヘルパーの訪問を楽しみにしておられる方が多くいます。その「寂しさ」や「辛さ」を理解する努力はヘルパーとして必要なことです。また「心のケア」として話し相手は大変重要な役割だと思います。生活援助ができないほど、時間内が話ばかりだと困りますが、何を訴えたいのか、そのことをきちんと受け止めることは必要なことです。少し話し相手をして、それ以後は話をしながら業務を行うように対応してほしいと思います。
 また、利用者はなぜサービスよりも話しを望むのか、その原因についても考えてみましょう。話の内容の中にはその糸口になるものが潜んでいることがあります。必要と思われることは記録・報告を行いましょう。
 
 
 
Q42:利用者から飲食を勧められたり、帰り際に「物」を持ち帰るように勧められたりします。失礼のないようにお断りするにはどうしたらよいでしょうか。
 
A42:(回答 山梨県ホームヘルパー協会会長 十五陽一郎)
 
 利用者の今ある状況を把握することで様々な断り方があります。まずはご本人の気持ちをよく理解し、断り方を工夫しましょう。
 
◎感謝の気持ちを表したり利用者には、
(例)
●事業所の決まりですので申し訳ありません。
●私は仕事でこちらに来ておりますので、そのようなことをしなくていいのです。
●このようなことをされると、次に来られなくなります
 
(最近は、介護保険制度が理解されてきたこと、また自己負担していることが分かってきているので、このように心配する人は減ってきています)
 
◎孤独な気持ちでおられる利用者には
(例)
●また来ますのでご心配しないでください。
 
◎認知症のある利用者には
(例)
●断るとトラブルになりそうなときは拒否しないで頂きますが、頂いたものは必ず元に戻すようにします(ご本人の自尊心を傷つけないために)。
●持ち帰るようお話されたら、まったく別の話(次はいつ来るのかということに)に気をそらしてしまう(物にこだわらないように)。
 
 
◎自分を認めてもらいたい利用者には
(例)
●ご自分で作った簡単な細工物(折り紙など)は、断るのではなく褒めて、頂いてもよいのではないでしょうか。高価なものは褒めてもらわないようにしてください。
 
 
Q43:男性の利用者から性的な話や行動をとられ困っています。何かよい対処方法はないでしょうか。
 
A43:(回答 日本ホームヘルパー協会東京都支部会長 田中典子)
 
 在宅という密室状態で「性的な話や行動」への対応をすることは難しいですね。利用者とホームヘルパーの良好な人間関係を保ちながら止めていただくことを工夫する必要があります。
 ホームヘルパー自身が不快な思いを我慢することはありませんが、問題は「不快なので止めてください」ということを相手にきちんと伝えるために、どのように工夫するかということです。
 まず、「性的な話や行動」について「どうしました?」と淡々と聞く必要があります。この段階でこちらから「性的な」という先入観を抱かずに説明を求めるほうが感情的にならずに解決します。次にこのようなことが続くなら、「不快に感ずるので止めてください」とお願いしてみてはどうでしょうか。
 「見て見ぬふり」とか「聞こえないふり」は一つの反応ですが、非常にあいまいなメッセージで誤解を与えることもあります。下手をすれば、「ヘルパーさんも喜んでいる」と言われかねませんので要注意です。
 あくまでも、利用者には「不快なことを続けることはできない」ということをわかっていただくことが重要です。また、訪問先でのホームヘルパーの服装や言動により触発すると言われることもありますので、肌の露出等については十分注意してください。
 

その他の悩み 
 
Q44:利用者宅でご家族の方からいろいろと口出しされることがあります。どのように対処したらよいでしょうか。
 
A44:(回答 栃木県ホームヘルパー協議会会長 仁平明美)

 

 具体的なことが分からないと具体的な回答ができないですが、ご家族の方の要望はまず意見として聞くことが基本姿勢かと思います。「口出し」だと表現すると余計なことと感じますが、意見だと捉えれば話し合いになります。また、自分のやり方の必然性を説明できるか等、自分のことを振り返ることも必要です。

 利用者のふりになることでもまずはご家族の意見を伺い、ここで話し合うことなのか、責任者に報告して解決策を探っていうことなのかの判断力も問われます。

 利用者の支援のために派遣されているホームヘルパーですが、本人だけでなく本人を取り囲む家族も仕事の対象でもあることを考えれば、違った意見をどう取りまとめるかも仕事のうちではないでしょうか。他者の家で個別に支援するホームヘルパーの大きな役割の一つかと思います。

 

 

Q45:利用者のご家族が無関心で協力してもらうことができません。関心を持ってもらい、協力を得られるようにするにはどうしたらよいでしょうか。

 

A45:(回答 日本ホームヘルパー協会岡山県支部会長 山本栄子)

 

 家族介護をしているご家族の中には、ヘルパーさんに何を聞いたらいいか、家族としてどんなことをしなければならないのかを分かりかねている方も大勢いらっしゃることでしょう。介護保険法や自立支援法を十分ご存知でないかもしれません。また、家族としての長年の歴史の中で葛藤があった場合、協力的に思えない言動が見受けられるかもしれません。現在に至るまでの家族の在りかたが大きく関係している場合があるので、まずはご家族とヘルパーさんが仲良くなる努力をしてみましょう。

 少し時間がかかりますが、家族とのコミュニケーションがスムーズに行えるようになったら、家族の気持ちや思いが理解できるようになるかもしれません。あまり性急に「あの家族は協力的でない」とか「利用者さんに関心がない…」とこちらが思い込まないことが大切です。

 訪問時には家族に「今日は〇〇さん、調子が少しいいみたいです(悪いみたいです)。昨日はよく休まれましたか?」「食欲はいかがでしたか?」などとさりげなく聞いてみるのもいいでしょう。また、「これから暑くなるから、ご家族の方も水分にはお気をつかわれますね」、「寒くなりますから室温に気をつかわれるでしょう」等々、家族の労をねぎらうことも大事なことです。家族の協力が必要な事項に関しては、「~~してください」といきなりお願いするのではなく、「いつも~~をよくしてくださっているから私たちもとても仕事がしやすくて助かっています」と家族の喚起を促すことの方が効果的かもしれません。

 我々の訪問時以外は家族が精一杯介護を行っているはずです。これ以上はできない……と思われているかもしれません。ヘルパーさんも一人で問題を抱え込まずに、サービス提供責任者に相談をし、定期的に行われるケア会議の中で押し付けにならないよう協力をお願いしてみるといいでしょう。

 いずれにしても家族の問題に介入するにはタイミングもあります。事業所と連絡・報告を行い、家族をも含めた支援を展開するように心がけてください。

 家族から聴いた話や知り得た事柄に関しては、サービス提供責任者やケアマネジャーへ相談・報告を行いますが、守秘義務を守ってください。

 

 

 

Q46:身体と生活援助の区分はどこで分けたらいいのでしょうか?

 

A46:(回答 日本ホームヘルパー協会東京都支部会長 田中典子)

 

 身体介護と生活援助の区分については平成12年3月17日老計第10号で明記されています。以下、簡単にお示ししますが通知本文を参照してください。

 

 身体介護とは、

①利用者の身体に直接接触して行う介護サービス(そのために必要となる準備、後片付け等の一連の行為を含む)

②利用者の日常生活動作能力(ADL)や意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援のためのサービス

③その他専門的知識・技術

と定義されており、1-1~1-6まで業務の流れが例示されています。この中で注目すべきことは1-1-3「特段の専門的配慮をもって行う調理」の例示に「えん下困難者のための流動食等の調理」があり、1-6には「利用者と一緒に手助けしながら行う調理」等例示があることです。

 生活援助とは、「身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助」となっています。なお、同じ「日常生活の援助」でも、身体介護1-6の例示にあるように、身体介護の場合は実施主体は利用者であり、その方ができる方面でその方のペースに合わせて側面から支援するものです(共に行う)。生活援助の場合は、代行を依頼されるものであり、ヘルパーのペースでやれるところが大きな違いと言えるでしょう。

 

 

 

Q47:医療行為とそうでない行為の区分はどこで分けたらいいのでしょうか。

 

A47:(回答 日本ホームヘルパー協会岡山県支部会長 山本栄子)

 

 平成17年7月に厚生労働省医政局長より発出された「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(通知)に、介護サービスの現場で想定される「原則として医行為ではないと考えられるもの」の解釈について示されていますので、以下に一部抜粋しておきます。

 

※介護サービスの現場で行ってよいとされる「原則として医行為でないと考えられるもの」は次の通りです。

 

1.水銀体温計・電子体温計により腋下で体温を測定すること、及び耳式電子体温計により外耳道で体温を測定すること。

2.自動血圧測定器により血圧を測定すること。

3.新生児以外の者であって入院治療の必要がないものに対して、動脈酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメータを装着すること。

4.軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること(汚物で汚れたガーゼの交換を含む)

5.一定の条件のもとに行ってよい行為

・皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の措置を除く)

・皮膚への湿布の貼付

・点眼薬の点眼

・一包化された内服薬の内服(舌下錠の使用も含む)

・肛門から坐薬挿入または鼻腔粘膜への薬剤噴霧を介助すること。

(条件)

①患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること。
②副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師または看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である場合でないこと。
③内用薬については、誤嚥の可能性、坐薬については肛門からの出血の可能性など、当該医薬品の使用の方法そのものについて専門的な配慮が必要な場合でないこと。

 

 

 サービス提供責任者は、利用者や家族、ケアマネジャー、医療関係者と話し合って調整を行うこととなります。

 以下の行為も原則として医療行為として規制をされません。

 

●専門的な管理が必要でない爪切り・やすりかけ。

●日常の口腔内の清潔保持

●耳垢除去(耳垢塞栓の除去を除く)

●ストマ装置のパウチにたまった排泄物を捨てる。(肌に接着したパウチの取り替えを除く)

●自己導尿を補助するためのカテーテルの準備、体位の保持。

●市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を用いて浣腸すること(挿入部の長さが5~6㎝程度以内、グリセリン濃度50%、成人用の場合で40グラム程度以下、6~12歳未満の小児用で20グラム程度以下、1~6歳未満の幼児用で10グラム程度以下の容量のもの)

 

 病状の急変や体調の変化が見られるときには医師や看護師などの連絡を行う。また事故が起きた場合の責任については別途判断されるべきものである。

 切り傷、擦り傷、やけど等に対する応急手当を行うことを否定するものではない。

 

 

 

 上記のほかにも条件等が示されているので、通知を確認してみましょう。